今日は日曜日、久々の休日だ。
本来なら昨日も全休だったのだが、朝早く起きて学校へ行ってしまった。
掲示板で休講情報を見た時の、窓に写る呆然とした顔が、忘れられない。
そんなことはさておき、今日は休日。
心は晴れ晴れとしていた。
午前11時、起床。
午前12時、就寝。
午後3時、起床。
もう荒れ狂う生活態度だ。
朝ごはんと昼ごはんを食べる暇など皆無だった。
11時~12時の間に、S君とメールをした記憶があった。
それをふと思い出し、メールを確認。
《本日16時くらいから暇な人?》
おいおい、俺が日曜日に外出るわけないだろ。あはは。
冗談は休み休み言えよ。まったく。
日曜日は玄関に結界が張ってあるって何度言わせれば・・・、
どんな気の利いた断り方をしたのかなと、送信メールを確認。
《暇な人ですぞ!》
オヒョイ藤村ばりに快く返事をする4時間前の僕がいました。
《んじゃ、4時に札幌駅集合ね》
《りょうかい》
日曜日に外に出る・・・これは重大な事だ。
日曜日は1日中寝てるというプライドが音も無く崩れる。
そんな小さなプライドより、
S君との約束は死んでも守らねば!
とてつもない使命感と共に、5分で支度をし家を飛び出す。
もちろん全力疾走で駅へ向かう。
この電車を逃せば、次の電車は20分後だ。
それでは4時15分になってしまう。
そう、4時15分になっちゃうじゃん。
「15分くらい遅れても大丈夫ですぜ旦那!」
もう精神が病んでそうな、僕の心の中の悪魔ワタルが囁く。
「ダメ!約束は絶対守らないとダメなんだから!」
ちょっとブリッコ入ってるが、天使ワタルがそれを制す。
そんな葛藤の中、「S君との約束は普通の約束とは違う。」
そんな心の拠り所を作り、天使ワタルに従って死ぬ気で走った。
駅に到着し、脱兎の如き速さで改札を通り抜ける。
あんなに鮮やかに改札を通った事は今までに、ない。
あんなに軽やかに階段を駆け下りた事も今までに、ない。
あんなにしなやかに人の波を掻き分けた事も今までに、ない。
僕は、成し遂げたのだ。
悪魔ワタルが、すごすごと退く。
僕らは勝ったんだね、天使ワタル。
この勝利は、S君に捧げよう。
15時55分、札幌駅に到着。
誇らしげに、S君にメール。
《とぅきました、東改札口で待ちます》
約束を守った誇りとともに、想いを込め送信。
{S君の事だからもう着いてんだろうなぁ}
{驚かせようとどっかに隠れてるのかなぁ。}
{あいつ子供っぽいとこあるからなぁ。ははは。}
どこに隠れてるのかなと、キョロキョロし続ける事、約20分。
いくら人の多い駅とは言え、20分も探せばわかるものだ。
この付近にS君はいない。
4時25分、S君が颯爽と到着。
悪魔ワタルが囁いた。
「15分遅れでちょうどだったね。」
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