「お疲れ様です」などと丁寧な事を口にする人がよくいる。
「お疲れ様です」いざ言う場面となると、なかなか言えない自分。
中学校の部活終わりに、先輩が、
「おっつかれぇ~」
と言った機を利用し、言ってやろう!と思ったが、
「あぁざーっす!」
見当違いの回答をしてしまった。
高校では、部活に入らず上下関係が余り無かった。
そんなこんなで、僕はまとも「お疲れ様です」を言えない人間だ。
この日、僕は自転車に乗っていた。
S君と遊んだ後、駅からゲオに向かっている途中だった。
昨日借りたCDを返すために、ひたすらこいでいた。
時間は夜10時半、それなりに急ぐ必要がある時間帯。
そんな時に信号に多くひっかかる。
「あぁ、もう!!」
と苛立ちを露呈していた。
その時だった。
パトカーが1台目の前で停車し、中から3人の警官が降りてきた。
警「あぁ、ちょっといいかい?」
威圧的な口ぶりで声をかけてきたリーダー格。
僕「あ、いいっすよ。」
爽やかを装う僕。
警「今ねぇ、盗難多いから確認させてもらうねぇ」
僕「あぁ、そうなんすかぁ」
警「これ、誰の名義?」
僕「うちの兄の自転車です。」
警「名前は?」
僕「○○○(総統兄本名)です。」
おもむろに無線を取り出し、
警「番号○○○○○、名義○○○、調べて。ごめんねぇ」
なんだか、すごい晒し者だったように思う。
周りから、「あいつなにしたんだよ」みたいな目で見られてる気がした。
「僕がやりました。すいません・・・」
そんなオーラで肩身が狭い感じで立っていた僕。
すると、それを察してか、婦警が優しく切り出した。
婦警「寒くない?大丈夫?」
婦警と話すなんて初めてだったので、もう興奮。
僕「大丈夫です!」
若干、大丈夫じゃなかったがなぜか無駄に強気な返答をした。
婦警、ふぅー!
そんな歪んだ性欲より、ここでふとある事を思いついた。
こんな夜中にパトロールをする警察官が目の前に3人もいる。
ここで「お疲れ様」を言わずにいつ言うんだ!
そう、突然奮い立った。
・・・言ってやる!
「殺してやる!」みたいな口ぶりで「お疲れ様って言ってやる!」
意義は少し違ってきたが、とにかく言ってやる。
警「OK,名義は○○○(総統父)になってたけど、お父さん?」
僕「はい、そうです。」
警「はい、わかりました。」
警「じゃあ、ご協力ありがとうございました。早く帰るんだよ。」
今だ!
ここで、長年の野望を言ってやるんだ!!
でも、あれ、ずっと威圧的だったのに最後に「だよ」とか優しいな。
いや、そんなことよりもお疲れ様って言わないと!!
でも、「だよ」って・・・。
うるさい!お疲れ様だ!!!
僕「はい。お疲れ様だよ。」
婦警「プッ」
PR