最近の僕のマイブーム。
それは1人でドトールコーヒーへ行く事。
それも早朝、開店と同時に入店する。
その時間帯は、はっきり行ってラッシュで、出勤前のスーツを着たサラリーマンが列を成していた。
その列の中央辺りで、格好良いと思って穿いている変な迷彩パンツに身を包んだ僕は、間違いなく浮いていた。
それでも、並んだ。
開店と同時に列がどっと流れ込む。
次から次へと響く注文が軽快なリズムをはなつ。
「アメリカンエス」
「ブレンドエム」
「ブレンドエム」
「アメリカンエム」
このアメリカンとブレンド、これらはカップにコーヒーを注ぐだけで終わりという、何ともシンプルな商品。
それゆえに、すぐに商品を渡す事ができる。だから注文する。
この混んでいる時間帯、店員と客との間ではそんな暗黙の領域が成り立っているように思う。
皆が皆、それが好きな人もいるだろうが、変わらず同じ注文。
人と違う事が悪い。そう言わんばかりだ。
僕は、そんなレールに乗っかった人生を送るのはイヤだ。
だから、「アイスカフェモカのエムとジャーマンドックください!」とか言ってやる。
本当はアイスカフェモカだって苦いし、お腹がすいてるわけじゃないんだけど。
その度に、「こちらで少々お待ちください」とか言われ、注文をとっている所の真横で待たされる。
待たされている間も、次から次へとが注文をし続ける。
何度も何度も、「なんでこいつこんな所にいるんだろ」みたいな目で見られては、「時間無いんだよねぇ・・まったく」みたいな顔をしている僕。
だったら、ブレンドかアメリカンを頼めって事なんだろうけど、それじゃあダメなんだ。
僕は、人の敷いたレールに乗っかってはいけない。
10人くらいに抜かされてようやくアイスカフェモカとジャーマンドックが僕の手元に舞い降りた。
それはもう甘美で、妖艶で、僕の心は打ち震える。
人の敷いたレールに乗っからない事は、なんとも素晴らしく、それでいて最高の充足感を味わえる。
人に流されない生き方。この荒れ狂う札幌というジャングルで、心のオアシスを見つけた。
そんな満たされた心で、皆が2階に行くから僕も2階へ行き、皆が窓際に座るから僕も窓際に座り、皆が店を出始めてから店を出た。
そして、皆が乗る地下鉄に乗って、皆と走るこのレールの音を聞きながら、皆がいる大学へと向かう。
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