いつもと同じ。
大学へ行く。
淡々と講義を受け、大学構内を家路へと歩く。
木漏れ日の差す廊下を通る。夕焼け空が、綺麗な赤みで照らす静かな廊下。
ふと見渡すと、左右に並ぶ腰掛けの夕陽が差し込む西側に、一人の女性がいた。歳は50代半ば、体型はメタボリック。清掃員の青いユニフォームに身を包み、腰掛け脇の壁にもたれかかりながら、片方の足を軽く曲げ横向きに放り、さらに片方の足を少々乱雑に重ねた格好。いわゆるセクシーポーズといった感じに佇みながら夕陽を眺めていた。
手には携帯電話が優しく握られ、表情は恍惚そのもの。
来るもわからぬ恋人を待つ女性のように、その目はどこか哀愁を帯び、夕陽のさらに向こうを見透かすように哀しい視線。
放り出された清掃用具がさらに切なさを演出し、不意にこみあげる面白さで吹き出した。
いつもと同じ生活に彩りを添えてくれた。
ありがとう。
僕が吹き出した所、清掃しておいてください。
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