「初心忘るべからず」
初心をもって万事取り組むべし、大変良いことわざですね。
もちろん、僕も初心を忘れずに、札幌に出てきた頃のように定期券をうまく買えません。
そんな定期券を使って電車に乗った時の事でした。
時間は午前6時26分。
この時刻に発車する電車の1番前の車両に駆け込み乗車。
車内は、あいにくの満員で、座れる場所など全く無く、運転席すぐ後ろの空間というか、タラップに立つ。
そして、何事も無くドアが閉まり、電車が動き出そうとした瞬間。
「しゅっぱぁぁぁつ!!しんこおおおおお!!!!」
とかなんとか、物凄い怒声でわめき散らす運転手。
普通の運転手は、手で計器を指差し、そこから前方を指すのみで、声なんてあげません。けれど、この運転手は怒号を付け加えて良しとする。
うっさいのなんのって、怒られてるのかと思った。
もちろん、お客さんもどん引きで、なんか女子高生もヒソヒソ話で「うっさくね?」とか言ってる。
結構独り言が得意な方なんで、僕も「うっさ!(笑)」とか言ってる。
でも、たまにはこうゆう刺激も良いもので、すっかり目も覚めた。
心なしか、一緒に乗ってきた乗客もそんな表情のように見て取れた。
ところが、
先に乗っていた乗客は表情が違うんですね。
昔、高校帰りに、雨の中を傘の柄だけ持って歩く僕を、豚でも見るかのように見ていた女子高生のような表情で運転手側を見てる。
おいおい、それはあんまりじゃないか。その表情は性犯罪者にだけ向けてくれと思い、もちろん心の中でですが、「お前等!運転手さんだって頑張ってるんだよ!早朝から電車の運転。運転。運手。大声だって出したくなるよ!」と言ってやりました。
その次の瞬間でした。
どうも、電車っていうものは、発車に際し、出発ポイントだとか言う摩訶不思議なポイントを用意しているみたいで、
「第1出発ポイント通過!しゅっぱぁぁぁつ!!しんこおおおおお!!!!」
「第2出発ポイント通過!しゅっぱぁぁぁつ!!しんこおおおおお!!!!」
「第3出発ポイント通過!しゅっぱぁぁぁつ!!しんこおおおおお!!!!」
などと、早朝から頭がぶっ飛んでる運転手がそこにはいました。
終点についた後にさえ、さながら発声練習のように。
「ん゙っん゙っ、しゅっぱ、しゅっぱぁぁぁつ!!しんこおおおおお!!!!」
とか言ってました。
声を出すのは、良い事かもしれません。けれど、際限というものも存在します。みたいな事をそっと目で訴えましたが、きっとその目は性犯罪者を見る時の目だったんだろうなと今では思います。
「初心忘るべからず」
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